技術開発の歴史

2009年入社/技術営業部長 南里 晃一郎 制震テープ⼯法の家とは
"家の形の制震装置"なんです

制震テープ工法の家とは"家の形の制震装置"
─ 入社の動機を教えて下さい
前職は⽔回りメーカーで、営業を7年、営業推進・営業企画に5年従事しました。
グループ企業が製造する制震ダンパーを扱い始めたことがきっかけで、建築構造に興味を持ち、次第に建物の根幹となる構造にもっと直接関わりたいという強い思いとなってアイディールブレーンに転職することになりました。
─ 当時のアイディールブレーンの様子は
各⾃がひとりで何役もこなす少数精鋭組織︕みんな驚くほど幅広い多くの知識を持っている。みんなが開発や実験に関わるので、製品について開発レベルの知識が身に付いているんです。
─ 部門の垣根がない
もちろん部⾨は存在するしそれぞれ専任スタッフがいますが、バキバキッと⼤きな⾳をたてて⽊軸が壊れるまでの実験をしつつ営業もして顧客の声を持ち帰って製品開発にフィードバックさせちゃう...。
開発のスピード感が違うし、ユーザーに伝わる情報のリアルさが違う。
■制震テープ(30mm巾・100mm巾) ■制震テープ(30mm巾・100mm巾)
─ 理想的な開発環境ですね
心底そう思いました。特に「制震テープ」はとにかく⾒た⽬が地味。これで⼤丈夫なの︖みたいな...(笑)
その意味でも、開発・実験に直接関与して本質を理解していたからこそ、しっかりと提案できたんだと思います。
─ 制震テープの本質とは?
もともと、制震テープ(粘弾性体)とは、⾼層ビル⽤の制震装置を構成する材料のひとつなんです。つまり制震テープ⼯法の家というのは、粘弾性体(制震テープ)と⽊材(柱・梁・⾯材)を材料にして組み⽴てた「家の形をした制震装置」なんです。ですから、建物の変形が伝わってから機能する⼀般的な制震装置と違って、建物を「変形させようとする⼒」そのものをダイレクトに吸収します。侵⼊した⼒に対処するのではなく、⼊⼝に待ち構えて⼒の侵⼊⾃体を防ぐことを⽬的にしています。
■制震テープ温度性能試験(KISTEC) ■制震テープ温度性能試験(KISTEC)
─ 独創的な着想ですね
⾃社の施設で思い浮かんだことをすぐに実験できるという環境のおかげですね。もちろん社内設備だけでは完結しない科学的検証や大掛かりな実大実験も必要なので、産技研、産総研にはしょっちゅうお世話になってます。当社にとって試作や実験はとても⾝近なもので、開発部⾨に限らず誰がアイデアを出してもかまわないという雰囲気に満ちています。
─ 実体験の場数が違う
知識や経験のほとんどが「⾃分の⽬で確かめたもの」というのは⼤きいと思いますね。
また、⾃社の製品以外の耐震部材や⾦物についても豊富な実験データを持っているので、顧客とは構造に関するコンサル的な関係を築いています。
─ 御社の強みですね
この環境のおかげで、様々な条件下での制震性能や耐久性能の検証にたっぷり時間をかけることができます。当社のものづくりに共通しているのは、必要な機能・性能だけを追求するシンプル設計。結果、⾼性能でありながら価格が抑えられるという、顧客にとって最⼤のメリットに繋がっています。
■制震テープ実験用試験体の製作 ■制震テープ実験用試験体の製作
─ 市場の意識は変わってきましたか?
確かに東⽇本⼤震災以降、全国の⼯務店から多数お問い合わせをいただいて、耐震構造に制震性能をプラスする必要性について理解が進みましたが、全体から⾒ればまだまだ少数。制震性能にも⾏政が定める公的な基準が必要だろうと思っています。
─ 耐震等級のような?
そうですね。例えば筋交いや⾯材等の耐⼒部材には、数値化された壁倍率という基準がありますが、制震ダンパーには制震性能を⽰す公的な基準がありません。ですから建築業者やユーザーさんは各メーカーの宣伝広告等を信じて採⽤しています。建築業界には、耐震と制震を別のものと考えている⽅が少なくないのですが「建物の変形を抑えるために抵抗する」ことに変わりはなく、これを考慮せずに構造設計することは、建物の偏⼼率の悪化や、柱の引抜⼒に対する抵抗⼒の不⾜などを招く恐れがあります。
将来的には、建築業者やユーザーさんが必要に応じて正しい選択ができるように、制震ダンパーの耐⼒やエネルギー吸収⼒等を公的に評価する仕組みが必要だろうと考えています。
■制震テープ公開実験(川口技術研究所) ■制震テープ公開実験(川口技術研究所)
─ 今後の抱負をお聞かせください
これまで繰り返し実施してきた様々な実験によって、営業担当者が蓄えた情報量は業界⼀だと思います。また、年内に川⼝技術研究所に導⼊する新たな実験装置を利⽤して、公開実験の開催頻度を増やそうと計画中です。「⾒る」ことは制震を理解していただく何よりの近道ですから。 縁あって、⽣命や財産に関わる社会的に⼤きな意義のある仕事に就いた以上、正しい情報を発信し安全な社会づくりに貢献することが私の役割だと思っています。
─ ありがとうございました
  • 2001年8月

    清水建設株式会社の事業化公募制度に基づきアイディールブレーン発足
  • 9月

    「制震テープ®」発表

  • 2002年6月

    日本建築学会「未来を拓く研究と技術開発に関する懸賞論文」1等受賞

  • 2002~
    2004年

    「リユース部材による組立解体自在の制震構造の開発 」を文部科学省の独創的革新技術開発研究(平成14年度)採択

  • 2005年1月

    「アルミニウム薄板を挟んだL型金物によるボルト組立・制震構造の開発」にて 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の 平成16年度研究開発型ベンチャー技術開発助成事業 採択

  • 5月

    鋼管杭無溶接継手工法「ボルフィックス」開発

  • 7月

    家具転倒防止「ガムロック」開発

  • 11月

    墓石転倒防止「不倒(ふとう)」開発

  • 2006年11月

    免震装置「ミューソレーター」発売 フリーアクセスフロアを兼ねた世界一薄い床免震装置

  • 「ガムロック」をリニューアル 家具・家電転倒防止「ガムロック」として用途別に8種ラインナップ

  • 2007年7月

    「ボルフィックス」の建築技術性能証明を(財)日本建築総合試験所にて取得

  • 11月

    「制震テープ®」が(財)日本建築防災協会の住宅等防災技術評価を取得

  • 2008年6月

    免震装置「ミューソレーター」が国土交通大臣の指定建築材料認定を取得

  • 2011年2月

    世界遺産「興福寺 国宝仏像17体」に「ミューソレーター」を施工

  • 2014年12月

    「ガラス制震壁の実用化開発」にて 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成25年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業 採択

  • 2015年4月

    木造住宅用制震装置「ミューダム® R」を発売

  • 木造住宅用制震装置「ミューダム® RH」 「ミューダム® RL」の国土交通大臣認定を取得

  • 7月

    木造住宅用制震装置「ミューダム® RH」 「ミューダム® RL」を開発・商品化

  • 2016年5月

    木造住宅用制震装置「ミューダム® ZH」の国土交通大臣認定を取得

  • 木造住宅用制震装置「ミューダム® ZH」を商品化

  • 9月

    木造住宅用制震装置「ミューダム®」が2016年度グッドデザイン賞を受賞

  • 10月

    木造住宅用制震装置「ミューダム® RB」 「ミューダム® ZL」 「ミューダム® ZB」の国土交通大臣認定を取得

  • 免震装置「ミューソレーター」が2016年度グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)を受賞

  • 2018年4月

    木造住宅用制震装置「ミューダム®」が第30回 中小企業優秀新技術「優秀賞」を受賞

  • 8月

    製品名「制震テープ®」が経済産業省特許庁より商標登録認可

  • ボルト接合による鋼管杭機械式継手工法「ボルフィット工法」がハウスプラス確認検査株式会社による構造評価を取得

  • 2021年2月

    木造住宅用制震装置「ディーエスダンパー」の国土交通大臣認定を取得

  • 4月

    木造住宅用制震装置「ディーエスダンパー」を発売

製品紹介

  • 強靭鋼棒が地震エネルギーを吸収するディーエスダンパー

    強靭鋼棒が建物の揺れを吸収する制震ダンパー。両側の曲面サポートが強靭鋼棒への応力集中を回避させ、理想的にエネルギーを分散吸収。建物へのダメージが低減され、本来の耐震性能を維持します。
  • 免震装置ミューソレーター

    ミューソレーターはシンプルな免震装置です。
    装置単体や特定のエリアなど、必要な部分だけを免震にすることができるため設置場所、コスト、工期といったさまざまな制約条件をクリアします。
  • 地震の揺れを80%低減ミューダム®

    金属流動とは、異なる金属同士が摩擦を受けながら、摩耗することなく一方が軟化し柔らかく動き始める現象のことです。
    複数の大学及び研究機関等との基礎研究の結果、繰り返し摩擦を受けても一定の摩擦抵抗力を保ち続ける「アルミと鋼材」の組み合わせを発見しました。
  • 家をまるごとダンパーにする制震テープ®

    兵庫県南部地震を何度も与えた実物大振動実験に於いて、制震テープ®を使用すれば、住宅の揺れ(層間変位)を最大80%低減できることを確認しています。
  • 家具・家電の転倒&滑り防止ガムロック

    一般にきわめてもろいと考えられている壁紙や塗装壁での使用を前提に開発されました。公的機関の振動テストにおいてその性能が確認されています。
  • 工期を短縮する継手BOLFit!

    BOLFit!工法は、回転貫入工法やプレボーリング工法の鋼管杭に対応した、現場溶接不要の機械式継手です。従来の溶接継手にない様々なメリットを提供します。
  • 水の力で揺れを抑える高層ビル用制振ダンパーSSD

    スーパースロッシングダンパーは、水の動きを建物の振動に共振させ、風による建物の揺れを低減させる振動制御システムです。建物の「風揺れ」を水槽内部の「水揺れ」が打ち消し、揺れを1/2~1/3に抑えます。


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