技術開発の歴史

制震テープをしっかり施工すれば気密性能も付いてくる...という感じです(笑)
依田 勝徳
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依田 忠道
インタビュー2024年5月15日:聞き手/技術営業部・山本直輝

新建ハウジング記事「独学の"伊礼流"×認定パッシブハウス」や、建築家・伊礼智氏と開発者・佐藤孝典の対談など、制震テープの話題には必ず名前の上がるヨダ工務店様。2012年から制震テープを全棟標準仕様として、メーカー以上の施工経験値を持つ制震テープマスター。
今回は、制震テープについて設計・施工者の視点からいろいろお話を伺いました。
■弟・忠道氏(左)と兄・勝徳氏(右) ■弟・忠道氏(左)と兄・勝徳氏(右)
─ 山本
本日はお忙しいところありがとうございます。よろしくお願いいたします。
─ 依田
よろしくお願いいたします。
─ 山本
依田さんにはもう10年以上にわたって制震テープをご利用いただいてますが、採用当時のことを覚えていらっしゃいますか?そもそも知ったきっかけは何でしたか?
─ 依田
建築系の雑誌で見たのが最初ですね。南里さん(アイディールブレーン技術営業部長)がよく「見た目はただの両面テープだから理解されにくい...」と言いますけど、私はむしろ「テープで制震!?どうやって??」って逆に興味をそそられましたよ(笑)
─ 山本
好奇心の旺盛な方で助かりました(笑)
─ 依田
高層ビル用制震ダンパーをバラバラにして、エネルギーを吸収する材料と、金属部品の代わりに柱や面材を利用して住宅そのものを制震ダンパーにしてしまう...ビル用ダンパー開発者ならではの合理的なアレンジがすぐに理解できて即採用を決めました。 2012年からヨダ工務店の標準仕様として全棟で使っています。
─ 山本
実は以前から開発者の佐藤が「制震テープは気密性能も兼ねる」と言ってはいたんですが、物件ごとに「ここに不陸が..」「取り合いはこっちを先貼りして..」などかなり施工精度が影響する領域なので、メーカーとしてはアピールしにくいなぁと...。
─ 依田
確かにそうかもしれませんね。
■制震テープ製品画像(30mm巾・100mm巾) ■制震テープ製品画像(30mm巾・100mm巾)
─ 山本
業界的に断熱・気密に注目が集まるようになると「ヨダ工務店さんは制震テープでC値0.1を出すらしい...」と社内で依田さんのお名前を耳にすることが何度かあって「え?ヨダさん?0.1?」ともう興味津々でした。
─ 依田
断熱・気密、省エネ性能に着目し様々な情報を集めている中で、2019年に究極のエコハウスなどと言われる自然エネルギーを効果的に活用する PASSIVEHOUSE と出会うんですが、環境共生をカタチにするために確立された設計メソッドにはとても感銘を受けました。
─ 山本
新建ハウジングの記事でも「伊礼さんとパッシブハウス・ジャパンの森みわさんのお二人をリスペクト...」とおっしゃっていましたね。
─ 依田
2020年にパッシブハウス・ジャパンの賛助会員となって PASSIVESCAPE Architbuild を立ち上げました。PASSIVEHOUSEレベルの性能を求める上で気密はかなり重要な要素なんですが、すでに全棟採用していた制震テープの貼り付け箇所は、気密をとる箇所と同じ(壁の気密に関して)なので、少しのアレンジでかなり高いレベルの気密性能を持たせることができました。制震テープをしっかり施工すれば壁の気密性能も付いてくる...という感じです(笑)
■施工指導中の勝徳氏「交点は数ミリ重なるようにカットしています。」 ■施工指導中の勝徳氏 「交点は数ミリ重なるようにカットしています。」
─ 山本
施工現場を見学させてもらいましたが、私たちが見慣れた制震テープ施工に比べると、確かに「しっかり」ではありましたけど、材料・工数が大幅に増えるというほどではなかったですね。
─ 依田
別工程で気密施工を加えることに比べると雲泥の差ですよ。もっとも「工数が少なくて楽」というのは本音ですが、性能基準で考えても制震テープを選びますね。一般的な気密テープは手切れがよくて扱いやすい。ただしそれは「切れやすい」ということでもあるので、その意味では制震テープの方が長寿命だと思います。長期に渡ってその部分の丈夫な気密層を作るマストアイテムだと思っています。
─ 山本
依田さんの好奇心・探求心のおかげで私たちも新たな発見をさせてもらってます。三つ子の魂じゃないですけど、依田さんは家業が工務店だったことで、建築の道に進むことは自然な成り行きだったんですか?
─ 依田
もちろん子供の頃は野球選手になりたいとか思ってましたよ。あの時代はみんなグローブを持ってて...軟式なのにミズノの赤カップとか、王選手に憧れて初めてのグローブがファーストミットの友達とか(笑)とにかくプロ野球人気がすごかったですからね。
─ 山本
ある世代の方々にすごく刺さりそうな話ですね(笑)
─ 依田
それでもある程度の年齢になって職業を意識する頃には建築の一択でしたね。新卒で中堅ゼネコンに入社して、数年間の現場監督経験など「外の世界」を学んだ後に家業に就きました。
技術の習得をしつつ新たな製品や工法を取り入れて、気づいたらもうかれこれ30年...ですがまだまだ好奇心は尽きません(笑)
御社の公開実験も楽しく参加しています。何度見学しても毎回何かしらの気づきがあるので今後もぜひ続けてもらいたいです。階高別の比較実験でどんな差が出るかなども知りたいですね。
─ 山本
この春から国交省認定基準の試験装置にリニューアルしましたので、ぜひ見ていただきたいです。次回の公開実験スケジュールが決まり次第すぐにお知らせいたします。
本日は貴重なお時間をありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします!
─ 依田
こちらこそありがとうございました。よろしくお願いいたします。

ヨダ工務店|PASSIVESCAPE Architbuild
埼玉南西部・板橋・練馬でパッシブハウスレベルの注文住宅建築を中心に、リフォーム施工、建築設計監理を行う。
数多くの制震テープ施工実績を持ち、また制震テープの材料特性を活かしてC値0.1という高レベルな気密性能を実現する制震テープマスター。メーカーから施工指導の依頼を受けるなど多方面で活躍中。

1983年 埼玉県志木市中宗岡にて創業。
1988年 有限会社 ヨダ工務店 設立。
2012年 制震住宅(制震テープ工法)を標準化。
2020年 パッシブハウスレベルの設計施工ブランド「PASSIVESCAPE Architbuild」立ち上げ。
2022年「志木パッシブハウス」で第9回 埼玉県環境住宅賞を受賞。
2022年「志木エコハウス」で第6回 エコハウス大賞奨励賞を受賞。

ヨダ工務店
http://www.yodahome.com
PASSIVESCAPE Architbuild
https://www.passivescape.net
文中リンク:出展/新建ハウジングDIGITAL, Wikipediaフリー百科事典, パッシブハウス・ジャパン
  • 2001年8月

    清水建設株式会社の事業化公募制度に基づきアイディールブレーン発足
  • 9月

    「制震テープ®」発表

  • 2002年6月

    日本建築学会「未来を拓く研究と技術開発に関する懸賞論文」1等受賞

  • 2002~
    2004年

    「リユース部材による組立解体自在の制震構造の開発 」を文部科学省の独創的革新技術開発研究(平成14年度)採択

  • 2005年1月

    「アルミニウム薄板を挟んだL型金物によるボルト組立・制震構造の開発」にて 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の 平成16年度研究開発型ベンチャー技術開発助成事業 採択

  • 5月

    鋼管杭無溶接継手工法「ボルフィックス」開発

  • 7月

    家具転倒防止「ガムロック」開発

  • 11月

    墓石転倒防止「不倒(ふとう)」開発

  • 2006年11月

    免震装置「ミューソレーター」発売 フリーアクセスフロアを兼ねた世界一薄い床免震装置

  • 「ガムロック」をリニューアル 家具・家電転倒防止「ガムロック」として用途別に8種ラインナップ

  • 2007年7月

    「ボルフィックス」の建築技術性能証明を(財)日本建築総合試験所にて取得

  • 11月

    「制震テープ®」が(財)日本建築防災協会の住宅等防災技術評価を取得

  • 2008年6月

    免震装置「ミューソレーター」が国土交通大臣の指定建築材料認定を取得

  • 2011年2月

    世界遺産「興福寺 国宝仏像17体」に「ミューソレーター」を施工

  • 2014年12月

    「ガラス制震壁の実用化開発」にて 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成25年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業 採択

  • 2015年4月

    木造住宅用制震装置「ミューダム® R」を発売

  • 木造住宅用制震装置「ミューダム® RH」 「ミューダム® RL」の国土交通大臣認定を取得

  • 7月

    木造住宅用制震装置「ミューダム® RH」 「ミューダム® RL」を開発・商品化

  • 2016年5月

    木造住宅用制震装置「ミューダム® ZH」の国土交通大臣認定を取得

  • 木造住宅用制震装置「ミューダム® ZH」を商品化

  • 9月

    木造住宅用制震装置「ミューダム®」が2016年度グッドデザイン賞を受賞

  • 10月

    木造住宅用制震装置「ミューダム® RB」 「ミューダム® ZL」 「ミューダム® ZB」の国土交通大臣認定を取得

  • 免震装置「ミューソレーター」が2016年度グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)を受賞

  • 2018年4月

    木造住宅用制震装置「ミューダム®」が第30回 中小企業優秀新技術「優秀賞」を受賞

  • 8月

    製品名「制震テープ®」が経済産業省特許庁より商標登録認可

  • ボルト接合による鋼管杭機械式継手工法「ボルフィット工法」がハウスプラス確認検査株式会社による構造評価を取得

  • 2021年2月

    木造住宅用制震装置「ディーエスダンパー」の国土交通大臣認定を取得

  • 4月

    木造住宅用制震装置「ディーエスダンパー」を発売

製品紹介

  • 強靭鋼棒が地震エネルギーを吸収するディーエスダンパー

    強靭鋼棒が建物の揺れを吸収する制震ダンパー。両側の曲面サポートが強靭鋼棒への応力集中を回避させ、理想的にエネルギーを分散吸収。建物へのダメージが低減され、本来の耐震性能を維持します。
  • 免震装置ミューソレーター

    ミューソレーターはシンプルな免震装置です。
    装置単体や特定のエリアなど、必要な部分だけを免震にすることができるため設置場所、コスト、工期といったさまざまな制約条件をクリアします。
  • 地震の揺れを80%低減ミューダム®

    金属流動とは、異なる金属同士が摩擦を受けながら、摩耗することなく一方が軟化し柔らかく動き始める現象のことです。
    複数の大学及び研究機関等との基礎研究の結果、繰り返し摩擦を受けても一定の摩擦抵抗力を保ち続ける「アルミと鋼材」の組み合わせを発見しました。
  • 家をまるごとダンパーにする制震テープ®

    兵庫県南部地震を何度も与えた実物大振動実験に於いて、制震テープ®を使用すれば、住宅の揺れ(層間変位)を最大80%低減できることを確認しています。
  • 家具・家電の転倒&滑り防止ガムロック

    一般にきわめてもろいと考えられている壁紙や塗装壁での使用を前提に開発されました。公的機関の振動テストにおいてその性能が確認されています。
  • 工期を短縮する継手BOLFit!

    BOLFit!工法は、回転貫入工法やプレボーリング工法の鋼管杭に対応した、現場溶接不要の機械式継手です。従来の溶接継手にない様々なメリットを提供します。
  • 水の力で揺れを抑える高層ビル用制振ダンパーSSD

    スーパースロッシングダンパーは、水の動きを建物の振動に共振させ、風による建物の揺れを低減させる振動制御システムです。建物の「風揺れ」を水槽内部の「水揺れ」が打ち消し、揺れを1/2~1/3に抑えます。


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