地震でもないのに家が揺れるのはなぜ?

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「地震でもないのに家が揺れて怖い」。このような経験をお持ちの方も少なくないかと思います。日常生活において家が揺れると「欠陥があるのではないか?」と不安になってしまうこともあるでしょう。では、実際に地震でもないときに家が揺れることは問題なのでしょうか?

今回は地震発生時以外に家が揺れることについて解説していきます。

地震でもないのに家が揺れるのは危険?

地震でもないのに家が揺れるのは危険?

日常生活の中で地震以外の理由で家が揺れることはよくあることで、多くの家庭で経験されることです。その揺れのほとんどは、家の構造に直接的な危険をもたらすものではありません。そもそも木造住宅は適度に揺れながらも、振動を吸収して壊れないように設計されているので、日常生活の中で揺れが生じるのはやむを得ない側面があります。むしろきちんとした構造計算の上で建築されている建物は、揺れても安心なようになっています。

しかし、特定の条件下で揺れが頻繁に起こる、または頻度が多い場合には、より深刻な問題の兆候かもしれないので注意が必要です。

地震でもないのに家が揺れるのはなぜ?

地震でもないのに家が揺れるのはなぜ?

地震でもないのに家が揺れる理由はさまざまです。揺れの原因を正しく理解することで、不必要な心配を避けることが可能になるでしょう。ここでは家が揺れる主な理由と、それに対する対策の必要性について掘り下げて解説します。

地震以外で家が揺れる原因としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 大型トラックの通行による揺れ
  • 強風による揺れ
  • 建設作業による揺れ
  • 建物の構造上の問題や地盤による揺れ
  • 建物の老朽化による揺れ

大型トラックの通行による揺れ

よくある家の揺れとして挙げられるのが、大型トラックの通行による揺れです。住宅街を通る大型トラックや建設車両が引き起こす振動は、地面を通じて家に伝わり、家全体を揺らすことがあります。大型トラックによる揺れは、トラック通過時に一時的にガタガタという揺れを引き起こします。主要道路や工事現場の近くなど、トラックが頻繁に通る場所に住んでいるとこの揺れを感じる機会が顕著です。

しかし、大型トラックの振動は基本的に細い縦揺れなので家が崩れる心配はありません。どうしても心配な場合は基礎の補強をするなどの対策は考えられますが、大型トラックによる揺れは地面の揺れなので道路をきれいに舗装してもらうなどの対策のほうが有効となる可能性もあります。

強風による揺れ

強風によって家が揺れることもあります。特に高層建築物や、風通しの良い場所の一軒家では、風圧によって揺れを感じやすくなります。台風のような暴風はもちろん、強風注意報が発令される日でもこの現象が顕著になるかもしれません。

ただし、建築物によっては強風がきたときに意図的にわずかな揺れを起こすような設計をしていることもあります。強風によってかかる大きな圧力を揺れによって吸収することで、建物の構造体を守っているからです。強風による揺れは、日常生活に支障がないレベルであれば特段気にするような揺れではありません。

建設作業による揺れ

建設作業によっても揺れが生じることがあります。家の近隣での建設作業による地面の振動が家に伝わって、家の揺れの一因となるのです。特に、重機を使用する作業が行われる場合や地盤を固めるための打ち込み作業を行うときなどは、大きな揺れをもたらす場合があります。建設作業による揺れも、日常生活に支障がないレベルであれば日常的な揺れの1つとして考えればよいでしょう。

建物の構造上の問題や地盤による揺れ

建物自体の構造問題が揺れの原因である場合もあります。その場合は、いくつかの典型的な問題点が考えられます。

1つめは、耐震性の不足です。 設計段階での耐震基準の不足や施工ミスにより、建物が本来持つべき耐震性を確保されていないことがあります。特に古い建物や、耐震基準の見直しが行われる前に建てられた建物では、このような問題が顕著になりがちです。

2つめは、施工不良です。本来必要であるべき柱がない、筋交いなどの耐震金物が適切に設置されていない、必要な壁の量が基準に満たないなど、施工上のミスが原因で建物が揺れやすくなっている場合があります。これらの問題は、後から大きなリスクにつながる可能性があるため、早期の対応が必要です。

3つめは、地盤が弱いことです。家が建てられている地盤の状態も、揺れの原因として重要な要素となります。自然の状態で地盤がもともと弱い場合や、人の手による埋め立てなどによって地盤が弱くなっている場合、外からの振動が増幅されるので、通常よりも家が揺れやすくなるでしょう。特に粘土質の地盤だと、揺れが大きくなる傾向にあります。また、盛り土や埋立地の上に建てられた家は、地盤の不均一性が起こり揺れを感じやすくなるでしょう。

構造上の問題が起因して家が揺れている場合は、専門家による診断と対策立案が必要になります。まずは専門家に相談して、原因を正しく分析してもらい、しかるべき対応方法を考えてもらうようにしましょう。

建物の老朽化による揺れ

建物が老朽化することで揺れを生じることもあり得ます。建物やその構造材が老朽化すると、本来持っていた強度が低下し揺れやすくなることがあるのです。

老朽化の代表的なものが構造材の腐食です。木造建築に使用される木材は十分に乾燥させているので、通常だと木材腐朽菌(もくざいふきゅうきん)が付着することはありません。しかし、土地が常に湿っていたり、壁内の湿気が抜けない構造になっていたりすると、木材腐朽菌が繁殖して構造材が腐食してしまいます。

もう1つの典型例として挙げられるのが、構造材がシロアリの被害に遭ってしまうことです。シロアリが木材を食べると強度が落ちてしまい、揺れやすい家になってしまうのです。

長年に渡る地震の揺れに耐える中で建物の接合部が破損している場合もあります。接合部とは、柱と梁がくっついている部分のことです。接合部が破損してしまうと、振動や風に弱くなり家の揺れが大きくなってしまいます。

これらの問題は、定期的なメンテナンスと、必要に応じた補修や補強によって対処することが可能です。ただし、老朽化があまりに進んでいる場合は補修・補強では対応が困難なこともあります。心配であれば、やはり専門家に相談して対応を考えていくのがよいでしょう。

家が揺れることによる弊害

家が揺れる現象は、表面的には些細な不快感を与えるだけのように思えますが、その繰り返しは建物自体の安全性や構造的な信頼性、さらには住んでいる人の心身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。ここでは、家が揺れることによって生じる可能性のある弊害と、その対策について以下の観点から掘り下げて説明します。

  • 建物への影響
  • 健康への影響
  • 生活の質への影響

建物への影響

家の継続的な揺れは、建物自体に大きな影響を与える可能性があります。

たとえば、建物の構造的損傷に至るケースです。長期にわたる家の揺れは、家の基本構造部分へのダメージを蓄積してしまいます。そうすると、家の壁に亀裂が入ったり、柱や梁の接合部が緩んだりするなどの可能性があるでしょう。屋根や外観部分への影響も考えられます。建物の構造的な損傷は、見た目の問題だけでなく、建物の安全性にも直接影響してしまいます。

ほかには、耐久性の低下も影響の1つです。家が揺れることによって、建物の耐久性が徐々に低下し、耐久性がある一定の範囲を下回ってしまうと将来的に大規模な修理や補強が必要になることがあります。建物の耐久性は、特に老朽化した建物において重要な問題となります。

さらには倒壊のリスクが増加することも大きな影響の1つです。 建物の構造的な問題が深刻になってくると、地震や台風などの自然災害時に建物が倒壊してしまうリスクが高まるからです。建物が倒壊すると住人の生命と安全に直接関わってくるので、かなり大きな問題といえるでしょう。

健康への影響

家の揺れは、建物への影響だけには留まりません。家に住む人の心身にも影響を与えることがあるのです。

たとえば、ストレスと不安に悩まされることが挙げられます。 家が頻繁に揺れると不安やストレスの原因になります。特に夜間や休息中に揺れるようだとその影響は顕著です。

ほかには、睡眠障害を引き起こす要因にもなり得ます。頻繁な揺れによって睡眠が中断されると、睡眠の質が低下し、疲労感の増大や日中の集中力の低下を引き起こすかもしれません。

さらには身体的不調につながるケースもあります。長期間のストレスや睡眠障害が起こると、頭痛やめまいなどの身体的な症状を引き起こしてしまう可能性があるからです。身体的な不調を引き起こすと、日常生活にもさまざまな影響が出てしまいます。

生活の質への影響

建物や健康への影響のほかに、日常生活への影響も考えられます。

たとえば、家具が動く、食器が揺れるなどすると、日常生活にさまざまな不便を引き起こします。料理中に食器が棚から落ちる恐れがあるなどすると、生活の質を直接下げる要因となるだけでなく、怪我の心配も出てきます。

ほかには、安心して生活できない不安を抱えてしまうこともあるでしょう。 安全で快適な家という基本的なニーズが満たされないと生活の質が全体的に低下し、幸福感にも影響を与えてしまいます。

笑顔の女性

このように、地震でもないのに家が揺れるのは珍しいことではなく、木造住宅であれば比較的よくあることです。したがって、家が揺れたからといって即座に「危険だ」とか「欠陥だ」とは思わずに冷静に受け止めるようにしましょう。

しかし、揺れが頻繁に起こるようであったり、建物の構造上の問題や老朽化が原因として疑われる場合は、専門家に建物を診断してもらい、適切な処置を施すようにしましょう。

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