地震に対する基本的な備えとして大事なこととして、地震発生時に安全な場所や危険な場所をあらかじめ把握しておくことが挙げられます。今回は地震時に安全な場所と危険な場所を屋外・屋内にわけて解説していきます。
地震の際には屋外と屋内どちらが安全?
地震が起こった際に、多くの人が持つ疑問の一つが「屋外と屋内、どちらがより安全なのか?」でしょう。この問いに正確に答えると、「状況に応じて異なる」となります。
一般的には耐震性の高い建物内は安全とされることが多いです。なぜなら、耐震設計に基づいて建てられた建物は、大きな地震にも耐えられるように作られているからです。また、家具がしっかり固定されていれば屋内で倒壊による怪我を防ぐことも可能です。
しかし、すべての建物がその基準を満たしているわけではありません。特に、かつての建築基準で建設された古い建物や、耐震設計の程度が不明な建物と比較すると、屋外に避難した方が安全な場合もあります。
一方で屋外の場合、倒れやすい建物から離れ、開けた場所を選ぶことで安全性を確保できるので屋内より安全な場合もあります。また、津波の被害が想定される場合は高台に逃げることも有効な安全策です。地震が起きた際には、その時々の状況を的確に判断し、屋内か屋外かを問わず可能な限り安全と考えられる場所へ迅速に移動することが重要となります。
地震発生時に安全な場所
地震の揺れ自体や、それに伴う建物の倒壊、落下物などから身を守るためには、どこに避難すればよいのかを知っておく必要があります。一般的に地震発生時に安全な場所を屋外と屋内にわけて解説していきます。
屋外
地震が起きたときに屋外にいる場合、安全性が高い場所は以下のとおりです。
- 広い公園や学校のグラウンド
- 高台
- 地割れや落石のない場所
- 堅牢な構造物の近く
広い公園や学校のグラウンド
広い公園や学校のグラウンドは、まわりに倒壊の可能性がある建物や構造物が少なく、安全に過ごせます。地震発生直後は余震が続く可能性もあるため、このような開けた場所で落ち着いて状況を見守ることをおすすめします。
高台
地震の揺れで被害がなくても、地震のあとにくる津波には要注意です。地震が発生したときに海岸近くにいる場合や津波注意報・警報が発令された地域にいる場合は、速やかに高台へ避難しましょう。津波は最初の波だけではなく、何度も襲ってくる可能性があるため、安全が確認されるまで高台で待機することが重要です。
地割れや落石のない場所
地震によって地割れや落石が起こると大変危険です。したがって、地面の亀裂や落石のリスクが低い、平坦で開けた場所で安全を確保することが重要です。
堅固な構造物の近く
地震発生時には、建物から一定の距離を保つことが推奨されますが、都市部にいるとどうしても建物から距離をとるのが難しい場合があります。その場合は、構造が堅固で落下する危険性が低い構造物の近くに待機して安全を確保しましょう。
一般的には、新しい建物ほど地震への配慮ができている可能性が高いので、そうした建物の近くを選んで待機することが大事です。ただし、建物に少しでも異変を感じた場合は、地震によって倒壊するリスクが考えられるので速やかに距離をとるようにしましょう。
屋内
地震が発生したときに屋内にいる場合も、比較的安全性を確保できる場所に待機することが大事です。地震時に屋内で比較的安全とされる場所は、以下のとおりです。
- 新しい建物の中
- テーブルの下
- 家具や家電が固定されている部屋
- 窓の少ない部屋や場所
- 柱や壁の多い場所
新しい建物の中
新しい建物やビルは地震に対して配慮されている可能性が高く、比較的安全性が高いといえます。特に新しい耐震基準にしたがって建設された建物は、地震の揺れに対してより強い耐性があるので安全を確保できる可能性が高いでしょう。たとえば東京都では、一定の耐震性が確保されているビルには「東京都耐震マーク」が交付されていて、耐震性の高いビルであると周知されています。
テーブルの下
テーブルの下は地震からの被害を一時的に回避するのに有効な場所です。地震による大きな揺れを感じたら、テーブルの下に隠れて身を守ることを最優先しましょう。
家具・家電が固定されている部屋
地震が発生したときに屋内で大きな怪我の要因の一つとなるのが、家具・家電の転倒や落下などです。特に重たい家具の下敷きになると極めて危険です。そのため、屋内にいる場合は転倒防止器具などで固定された家具や家電のある部屋を選ぶようにしましょう。
窓の少ない部屋や場所
窓の少ない部屋も安全性を確保しやすい場所です。なぜなら、地震によって窓ガラスの破損や飛散があると、怪我のリスクが高まってしまうからです。窓の少ない場所は一般的に建物の構造上、強固な部分に位置していることが多く、地震の揺れに対する耐性が高いともされています。
窓の少ない場所の中でも特に窓の小さい玄関などは、ガラスによる怪我のリスクが低く、比較的安全な避難場所といえるでしょう。玄関だとそのまま外に脱出できるという点でも、安全性の高い場所といえるでしょう。トイレも窓の少ない場所という点では安全性が高い場所といえますが、地震の揺れによってドアが開かなくなるリスクを考慮する必要があります。
柱や壁の多い場所
柱や壁の多い場所も、一時的な避難場所として有効です。たとえばドア枠は構造的に強いため、家具の転倒や天井の落下から一時的に身を守りやすい場所です。建物の階段も構造的に強く設計されていることが多いため、階段の下も地震発生時の一時的な避難場所として利用できます。ただし、これらの場所は一時的な避難場所であり、揺れが収まったらすぐにより安全な場所へ移動することが重要です。
地震発生時に危険な場所
地震が発生した際に、避けるべき危険な場所を知っておくことも重要です。ここからは地震時に特に危険な屋外と屋内の場所について具体的に解説します。
屋外
屋外にいる際に地震が起きた場合、以下の場所は特に危険が伴います。
- 建物のすぐそば
- 看板、電柱、ブロック塀など倒れやすいものの近く
- 海岸や川の近く
- ガス管や水道管の近く
- 下り坂や崖の近く
建物のすぐそば
一般的に建物のすぐそばは危険性の高いところです。建物からの落下物や、倒壊する建物自体が大きな脅威となり得るからです。地震の際は、建物から少なくともその高さ以上の距離を保つことが推奨されます。たとえば建物の高さが20mあるなら、20m以上の距離をとることが有効です。
特に古い建物や、耐震性の低い建物の近くは危険性が高いので、しっかりと距離をとって危険を避けることがおすすめです。また繁華街にいる場合は、まわりが建物ばかりで危険性が高いので、近くのなるべく開けた場所に逃げるようにしましょう。
看板、電柱、ブロック塀など倒れやすいものの近く
看板や電柱、ブロック塀などは地震の揺れにより容易に倒れてくる可能性が高いものです。これらのものが人間に向かって倒れてくると重大な怪我や命の危険につながります。自動販売機も倒壊の可能性があるので危険です。そのため、地震が発生したときはこれらのものから十分に安全な距離を保つようにしましょう。
海岸や川の近く
海岸や川の近くも危険です。地震の揺れそのものでただちに危険とはなりませんが、地震後の津波による被害を受けやすい場所だからです。海岸や川の近くにいるときに揺れを感じたら、速やかに海岸や川から離れてなるべく高台の方に逃げるようにしましょう。
もし、高台がまわりにないならなるべく頑丈そうな建物を選んで、その建物の上層階に逃げることが大事です。津波警報・注意報が解除されるまでは、決して海岸や川を見に行ってはいけません。
ガス管や水道管の近く
ガス管や水道管の近くにいると、地震によってガス漏れや爆発の原因となる場合があります。もし地震が起きたときにガスの臭いがしたり、水漏れしている場所を発見したりした場合は、ただちにその場を離れることが重要です。
下り坂や崖の近く
地震の揺れで怖いのは建物の倒壊や津波だけではありません。地震の揺れによって発生する土砂崩れや落石も人命に関わるものとなります。土砂崩れや落石は急斜面で起こるものなので、下り坂や崖などの急斜面や地形的に不安定な場所から速やかに離れるようにしましょう。
屋内
屋内では、たとえば以下の場所が地震発生時に大きな危険があるところです。
- 大きな家具や家電が固定されていない部屋
- ガラス窓が多い場所
- 古い建物や耐震性が不明な建物の内部
- キッチン
大きな家具や家電が固定されていない部屋
地震の揺れにより、大きな家具や家電が倒れることで重傷を負うリスクがあります。事前の転倒防止措置として壁や床にしっかりと固定することが不可欠ですが、もし強固に固定できていない場合は、そうした家具や家電がある部屋には避難しないようにしましょう。
ガラス窓が多い場所
地震によって窓ガラスが破損し、飛散すると大きな怪我の原因となります。特に大きな窓やガラス面積の広い部屋はより危険です。防災対策として窓ガラスに飛散防止フィルムを貼ってある場合はまだ安全ですが、そうでないならガラス窓の多い場所に避難するのは避けるようにしましょう。
どうしても、ガラス窓が多い場所にしか逃げられない場合は、カーテンやブラインドを閉じてガラスの飛散をおさえるようにしましょう。
古い建物や耐震性が不明な建物の内部
耐震基準が現行のものに比べて低い古い建物や、耐震性が確認されていない建物は、地震による倒壊のリスクが高まります。見た目が古い建物は、こうした倒壊リスクの高い建物である可能性が高くなるので、内部にとどまるよりも外に逃げた方が安全な場合があります。
キッチン
キッチンは地震発生時にガス漏れや火災のリスクがあるため、地震の際はキッチンから離れることが望ましいです。実際に火が出ている場合は、消化をするよりも逃げることを最優先しましょう。
公共交通機関や車の中にいる場合の注意点
屋外にいる場合でも、公共交通機関や車を運転中の場合は、臨機応変に安全・危険を判断する必要があります。一般的に注意する点は以下のとおりです。
交通機関利用時の注意点
- 地下鉄や電車の中では、扉から離れて頑丈なポールや座席にしっかりと捕まります。強い揺れによりバランスを崩しやすく、また、扉のガラスが割れる危険性もあるためです。
- 人が大勢乗車している場合は、将棋倒しを防ぐためにつり革や手すりをしっかり握りましょう。
- 揺れを感じても冷静を保ち、車掌や運転手からの指示にしたがって行動しましょう。車内に留まるように指示があれば勝手に降車しないようにし、避難の指示があればその指示にしたがって行動します。
自動車運転中の注意点
- すぐに速度を落とし、道路の左側に車を寄せて安全に停車します。橋の上やトンネル内、崖の近くなどは危険性が高い場所なので、これらの場所で停止するのは避けましょう。
- 揺れが収まるまでは、車内に留まり、エンジンはかけたままにしておきます。可能であればラジオからの情報収集をして、余震や交通情報、その他の緊急情報を確認してください。
- 避難が必要なときは車のキーはつけたままにし、ドアロックもしないようにしましょう。車検証等の貴重品を忘れずに持ち出し、徒歩で避難します。
安全な場所と危険な場所を見分けるには訓練が重要
ここまで安全な場所と危険な場所について解説してきましたが、実際に地震が起きたときに瞬時に安全か危険かを判断するためには、日頃の訓練が重要となります。訓練では特に以下のことに留意しておくのが大事です。
- 行動計画を作成する:地震が起きた際の具体的な行動計画を作っておきます。たとえば、「地震が起きたら、まず机の下に隠れる」「揺れが収まったら、次に行く場所を決める」「非常口や避難ルートの確認をする」などです。
- 避難場所へのルートを実際に確認しておく:地震を想定して事前に避難場所へのルートを確認することで、ルート上にある安全な場所と危険な場所をあらかじめ想定できます。実際に歩いて避難ルートを確認するとより効果的です。
- 過去の地震での教訓を学んでおく:過去の歴史から学ぶことも立派な訓練の一つです。日本で起きた過去の大地震で何が起きたのか、安全を脅かす危険としてどのようなものがあったのかなどを事前に知っておくことで、実際に地震が起きたときの安全に対する感度を高められます。
地震の際には安全な場所への避難が大切
地震の際には安全な場所と危険な場所を判断して、できるだけ安全な場所に避難するようにしましょう。安全な場所を迅速に見つけるためには、日頃から地震が起きた場合を想定した訓練も重要となるでしょう。
一方で根本的に地震に対する備えをしておくことも大事です。その備えの一つが、建物に対する地震対策です。株式会社アイディールブレーンでは、効果的な地震対策ができる製品やサービスを多数取り揃えています。「大地震が起きても堅牢な建物にしておきたい」とお考えの方は、ぜひアイディールブレーンまでお問い合わせください。地震対策のプロ集団が、お客様の大切なご家族とご自宅を守るサポートをいたします。
最後に、アイディールブレーンが持つ代表的な地震対策製品をご紹介します。
■制震ダンバー「ミューダム」
ミューダムは、摩擦抵抗力を利用した金属製の制震ダンパーです。地震が発生するとスライド部分でアルミと鋼材の「金属流動」が起こり、揺れは熱エネルギーに変換され低減されます。一般的に金属ダンパーは、変形の繰り返しによって生じる「金属疲労」がデメリットとされていますが、独自開発した「金属流動技術」によって、摩擦を受け続けても摩擦抵抗力はほとんど低下しません。
どんな季節にどんな性質の地震が発生するかは予測できませんが、環境条件に依存しない「素材の安定性」という最大のメリットによって常に安定した制震性能を発揮します。
ミューダムには、以下3つの特徴があります。
- 国土交通大臣認定取得の壁強度
- 厚さはわずか30mm、断熱材配置の空間を十分に確保できる薄型制震ダンパー
- 腐食後でも性能は安定、その耐久性は60年以上
■制震ダンバー「ディーエスダンパー」
ディーエスダンパーは、変形抵抗力を利用した金属製の制震ダンパーです。一般的に金属ダンパーは、変形の繰り返しによって生じる「金属疲労」がデメリットとされていますが、独自開発した技術による金属疲労の原因となる「応力集中」を回避する機構を備えています。どんな季節にどんな性質の地震が発生するかは予測できませんが、環境条件に依存しない「素材の安定性」という最大のメリットによって常に安定した制震性能を発揮します。
ディーエスダンパーには、以下3つの特徴があります。
- 国土交通大臣認定取得、壁強度3.0倍・3.4倍
- わずか30mmの厚さで、断熱材配置の空間を十分に確保できる薄型制震ダンパー
- 施工はわずか10分、作業者1名でも取付可能
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