30年以内の大地震の発生確率は?南海トラフ地震・首都直下地震など

耐震・制震・免震

地震大国である日本で生活する上で欠かせないのが、家屋の地震・防災対策です。今回は、内閣府がまとめている「防災情報のページ」などを参考にして、30年以内の大地震発生確率とその備えについて解説していきます。

30年以内の大地震の発生確率

地震には海溝型地震と活断層による地震の2つがあり、それぞれ今後30年以内の発生確率は異なります。

海溝型地震

海のプレートは陸地のプレートを巻き込みながら移動しますが、やがて巻き込まれた陸のプレートの端が反発して跳ね上がってしまいます。このときに引き起こされる巨大な地震が海溝型地震です。海溝型地震は数十年から数百年という短い周期で繰り返されます。

たとえば、東日本大震災を引き起こした宮城県沖で起こる海溝型地震の平均発生間隔は37年です。内閣府「防災情報ページ」によると、宮城県沖で10年以内にM7.5前後の大地震が発生する確率は60%程度、30年以内だと発生確率は99%に達するといいます。

出典:内閣府「防災情報ページ」

活断層による地震

活断層による地震とは、陸側のプレート内部での断層運動によって発生する地震のことです。 深さ30kmよりも浅い地殻の内部で発生するのが特徴で、数千年単位の間隔で発生します。活断層による地震は街の真下で起こるので、振動が縦に伝わる「縦揺れ」を引き起こします。

たとえば、日本列島を二分する糸魚川静岡構造線断層帯の平均活動間隔は約1000年です。過去の大地震は約1200年前で、今後30年以内にM8 程度の地震が起こる確率は14%、50年以内は20%、100年以内なら40%といわれています。

海溝型に比べると周期が長いからといっても、活断層による地震の心配は少ないとは言い切れません。1995年1月に阪神・淡路大震災を引き起こした六甲・淡路島断層帯の一部について、地震直前の今後30年以内に地震が起こる確率をあとから計算したところ、0.02〜8%でした。また、2016年4月に発生した熊本地震を引き起こした布田川断層帯のM7.0級の地震発生確率は30年以内に1%未満でした。

活断層は、わかっているだけでも北海道から九州までで約2,000個あります。さらに、地下に隠れていて、まだ見つかっていない活断層もあるとされているので、日本ではいつどこで大地震が起きてもおかしくない状況なのです。

発生確率が高い大地震について

気象庁ホームージより引用

今後の発生確率が高いとされている大地震として、以下3つが挙げられます。

  • 南海トラフ地震
  • 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震
  • 首都直下地震

南海トラフ地震

南海トラフ地震とは、東海、近畿、四国の沖合にある「南海トラフ」で発生する地震のことです。内閣府によると、2017年時点で30年以内の南海トラフでのM8~M9クラスの大地震の発生確率は70%程度とされています。もし、M9クラスの地震が起こった場合、最大被害として死者・行方不明者が30都府県で約323,000人、全壊は約2,386,000棟と想定されています。

出典:国土交通省 中部地方整備局「南海トラフ巨大地震に備える」

過去の南海トラフ地震として知られているのが、駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生した宝永地震(1707年)です。また、隣接する領域で地震が続発した例もあり、安政東海地震とその32時間後に発生した安政南海地震(1854年)や、昭和東南海地震(1944年)とその2年後に発生した昭和南海地震(1946年)などが知られています。

日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震

日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震とは、房総沖から青森県東方沖の日本海溝と、十勝沖から択捉島沖及びそれより東にある千島海溝でプレートの移動に伴って発生する地震のことです。内閣府によると、2017年時点で30年以内の根室沖での大地震の発生確率は60%程度とされています。最大被害として、日本海溝沿いの地震で約199,000人、千島海溝沿いの地震では約100,000人の死者が発生するとされています。

出典:気象庁「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震について」

日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の最も身近な例は、2011年に発生した東日本大震災です。それ以前だと、1896年の明治三陸地震や869年の貞観地震など、巨大な津波を伴う大地震が知られています。

首都直下地震

首都直下地震とは、首都およびその周辺地域の直下で発生するM7クラスの地震及び相模トラフ(相模湾から房総半島南東沖までの海底の溝)沿い等で発生するM8クラスの海溝型地震のことです。内閣府によると、2017年時点で30年以内の南関東域でのM7クラスの地震発生確率は70%、相模トラフでのM8クラスの地震発生確率は0~5%程度とされています。首都直下地震では、揺れによる全壊家屋が約175,000棟、建物倒壊による死者が最大で約11,000人、さらに市街地火災と延焼で約610,000棟、死者が最大で約23,000人と想定されています。

出典:内閣府「首都直下地震の被害想定と対策について」

首都直下地震の例として、1923年の大正関東地震(関東大震災)や、1703年元禄(げんろく)関東地震、1293年の永仁(えいにん)関東地震などが知られています。

30年以内に発生する確率が高い大地震に備えるために

今回は「30年以内の大地震の発生確率」について解説しました。南海トラフ、日本海溝・千島海溝、首都圏を中心に30年以内に大地震が発生する確率は決して低くありません。また、これらの地域以外でもいつ活断層による大地震が発生するかもしれません。ひとたび大地震がくると家屋に多大な損害が出てしまうので、日頃から大地震への備えをしておきましょう。

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