緊急地震速報の仕組みとは?どんな震度から通知される?

耐震・制震・免震

緊急地震速報は、瞬時に地震の情報を知ることができるシステムです。しかし、この速報がどのような仕組みで動いているのか?どんな震度から通知されるのか?詳しく知らない方も多いと思われます。

この記事では、緊急地震速報の仕組みをわかりやすく解説し、通知される震度の基準についても明らかにしていきます。地震大国日本に生きる私たちにとって、知っておくべき重要な情報なので、ぜひ最後までご覧ください。

そもそも緊急地震速報とは?

緊急地震速報は、地震が発生したとき、初めに到達する比較的被害の少ない振動、すなわちP波を迅速に検知することで、後から到達する、より強い振動であるS波が到達する前に、その地震の大きさを推定する仕組みで、その結果として得られる情報の総称です。

この高度なシステムは、予期せぬ大きな地震が発生した場合、人々の安全を守り、被害をできるだけ少なくするために、迅速な対応や予防行動を促すことを主な目的として設計されています。

日本国内では、この緊急地震速報のサービスは気象庁が中心となって提供しています。その情報は、テレビやラジオ、さらにはスマートフォンや携帯電話といったさまざまな通信手段を介して、地震発生から数秒後、あるいは数十秒以内に届けられるようになっています。

この情報提供のおかげで、大きな地震の揺れが到達する前に、安全な場所への避難や適切な対策をとるための貴重な時間を確保することができるのです。

どんな震度から通知される?

緊急地震速報はどんな震度から通知されるのか?

気象庁は、地震の最大震度が5弱以上または最大長周期地震動階級が3以上と予想される場合に、震度4以上または長周期地震動階級3以上が予想される地域を対象に緊急地震速報は発表します。

参考:緊急地震速報について- 気象庁

緊急地震速報の仕組みをわかりやすく解説

それでは、ここから緊急地震速報の仕組み、流れをわかりやすく解説していきます。まず大まかな仕組みとしては以下の通りです。

【緊急地震速報の仕組み・流れ】

地震の初動検出

震源とマグニチュードの推定

S波の到達時間・震度予測

緊急地震速報の発信

以下でその仕組みの詳細について説明します。

地震の初動検出

地震が発生した際、最初に周りに到達するのは、速度が非常に速く、しかし比較的被害の少ない、初動の波動として知られるP波です。このP波は、振動の前兆となるもので、地震の大きさや発生地を知る手がかりとなります。

日本の各地に密に配置されている先進的な地震観測網は、このP波を瞬時に検出し、情報を集約します。この検出情報は、その後の大きな揺れ、つまり被害を及ぼす可能性のあるS波の到達前に、早急な警戒や対策を促すための大切な情報源となります。

震源とマグニチュードの推定

地震観測網が捉えた初動のP波の情報をリアルタイムで受け取った際、専門のコンピュータシステムが動き出します。この情報に基づき、震源地の具体的な位置や深さを特定し、更に地震のエネルギーの規模を示すマグニチュードを計算します。

この計算プロセスは、先端の技術や高速アルゴリズムを用いて行われるため、通常の人の思考をはるかに超えるスピードで実施されます。その結果、地震の発生から非常に短い時間、たったの数秒から数十秒程度の間に、地震の詳細情報が判明します。

S波の到達時間・震度予測

震源地やマグニチュードの推定に続いて、S波の到達時間や震度を予測します。一度震源地やマグニチュードが確定すると、その情報を基に、各地域でのS波の到達時間を計算します。

S波は、P波に比べてゆっくり進行する大きな揺れや被害をもたらす主要な波動となります。

さらに、同じ計算をもとに、各地域で予想される震度も算出されます。これにより、特定の地域がどれくらいの強さの揺れに見舞われるか、そしてそれがいつ到達するかの情報がわかります。

緊急地震速報の発信

先に観測されるP波の情報から震度やS波の到達時間を予測し、これらの重要な情報を元に緊急地震速報が発信されます。

この速報は、最新の技術と通信インフラを活用して、テレビやラジオ放送、さらにはスマートフォンのアラート通知としても受け取ることができます。

また、駅や空港、ショッピングモールなどの公共の場所に設置されたスピーカーやディスプレイを通じて、多くの人々へと届けられます。さらに、一部の交通機関では、この速報を受けて一時的に運行を停止するなどの緊急対応が取られることもあります。

このような仕組みの緊急地震速報によって、私たちは迫り来る地震の情報を知ることが可能になります。

そして、この情報を基に、自身や家族の安全を確保するための対応をすぐに始めることができるのです。

緊急地震速報に関する課題・注意点

大きな地震がくることを事前に知ることができる、身の安全を守るためにかかせない緊急地震速報ですが、課題や注意するべきこともあります。

通知から揺れ発生までの時間は短い

緊急地震速報は通知が届いた後、実際に揺れが発生するまでの時間は短い場合が多いです。通常、この速報が発表されてから実際の大きな揺れが到達するまでの期間は、わずか数秒と非常に限られています。

そのため、特定の状況や地域においては、速報の通知が強い地震の揺れの開始と同時、あるいはそれ以降になる場合も考えられます。

通知が間に合わない場合もある

緊急地震速報の提供には、地震の解析や情報の伝達に一定の時間が必要とされます。この時間は一般的に数秒程度ですが、この短い時間が速報の提供タイミングに影響することがあります。

特に内陸や浅い場所で発生する地震の場合、震源地に近いエリアでは、強い揺れが到達する前に緊急地震速報を提供するのが難しい状況となることがあるのです。

誤差が生じることもある

地震の規模や震源を、限られた観測点と短い時間のデータに基づき推定する過程には、必然的に誤差が生じることがあります。

例えば、予想される震度や長周期地震動階級は、±1階級程度の誤差を含む場合があるため、必ずしも正確な予測が得られるわけではありません。

さらに、このような予想の誤差が原因となり、緊急地震速報の発表基準を満たさないために、緊急地震速報が発表されない状況も考えられます。

誤報が発生することもある

緊急地震速報のシステムはあくまで予測に基づいているため、必ずしも100%正確ではありません。実際には、予測された震度や到達時間と実際のものが異なり、稀に誤報の可能性も存在します。

これは、観測データの解析過程での誤差や、極めて複雑な地下構造の影響などに起因する場合が考えられます。

状況によって通知されない場合もある

複数の地震が時間、距離的に近接して発生すると、システムがそれらを別々の地震として正確に認識することが難しくなる場合があります。この結果、規模の大きな一つの地震として誤認識することが起こり得るため、緊急地震速報の予想震度の誤差が大きくなり該当地域に通知されない場合もあります。

参考:緊急地震速報の特性や限界、利用上の注意

緊急地震速報の確認時に取るべき行動

ここからは緊急地震速報を確認した時に取るべき行動について解説していきます。

室内にいるときの行動だけでなく、屋外や施設などにいる場合の対応についてもみていきます。

落ち着いて身の安全を守ることが第一

緊急地震速報が届くと、多くの人は驚きや恐れを感じることが自然です。しかし、そのような時こそ、冷静な判断が身を守る鍵となります。

緊急地震速報を確認した際の最初の行動として、落ち着いて身の安全を守ることが第一です。意識的に自分の感情や周りの状況を確認し、安全な場所への避難や、物の落下を予防するなど、必要な行動をすぐにとりましょう。

また、公共の場所や混雑している場所で速報が届いた場合、周囲のパニックを避けるためにも、自分自身が冷静な姿勢を保つことが、他の人々へも冷静な行動を促す役割を果たすことにつながります。

室内にいる場合の行動

室内にいる場合には、揺れによって移動する家具や突然の落下物から身を守るため、すぐに大きな家具や棚の近くから遠ざかり、頑丈なテーブルや机の下で身を守りながら、頭を保護します。慌てて外に逃げるのは危険なので、まずは現場の安全を確認しましょう。

火を使用中の場合、すぐに消せる状況なら火元を止めますが、遠くにいる場合やすぐに止めることが難しい場合は、焦らず安全なエリアへと移動します。

そして、避難するためのルートを確保する意味で、ドアを開放します。これらの手順を守ることで、地震がもたらす危険から自分を守るための最善策を講じることができます。

自宅やオフィスなど主要な滞在場所については、日ごろから被害の可能性をシミュレーションし、対応をイメージしておくことが重要です。

屋外にいる場合の行動

屋外にいる場合には、まず周囲の状況を素早く確認し、安全な場所への移動を優先します。特にブロック塀や自動販売機などの倒壊や転倒の危険がある物体の近くにいる場合、すぐにその場所から離れることが大切です。

さらに、ビルや看板の付近では、壁の崩落や看板、窓ガラスの破損といった危険が伴いますので、これらの建造物からも適切な距離を取りながら、安全なエリアへと移動することを心掛けましょう。

大勢の人がいる施設での行動

多くの人々が集まる大規模な施設や商業施設にいる場合には、まず施設の係員や従業員からの指示があれば、それに従うことが大切です。

もし、すぐに具体的な指示が聞こえてこない場合であっても、動揺せず、頭部を保護する行動や、揺れを安全に乗り越える姿勢を取ることが重要です。

照明器具の吊り下げや大きな装飾品の近くにいる場合は、その危険性を考慮し、すぐに安全と思われる場所へ移動しましょう。

そして、急な揺れや驚きから出口や階段に駆け寄ることは控え、まずは自身の周囲の安全を確認しながら、冷静に安全な行動を選択することが大切です。

車を運転している場合の行動

車を運転している場合、必ずしも後続の運転手が同じ緊急地震速報を受け取っているわけではないため、急なハンドル操作や急ブレーキは避け、ゆっくりと車の速度を落としていくことが大切です。

速度を緩やかに落としながら、ハザードランプを点灯して、他の車や周りの人々に警戒を促すように心掛けます。そして、安全を確認しながら道路の左側に適切な位置で停車することで、他の車両との衝突のリスクを最小限に抑えることができます。

地震発生後に取るべき行動

緊急地震速報が届き、そして大きな地震が発生した後に取るべき行動としては以下の3つのことが挙げられます。

①情報を確認する

②続く余震に備える

③非常用持ち出し袋を手元に置く

①情報を確認する

正確な情報の確認が極めて重要です。信頼性のある情報源から、震源地、マグニチュード、予想される震度や津波の有無などの詳細情報を速やかに入手することが必要です。

テレビやラジオ、インターネット、そしてアプリなどから得られる情報は、適切な避難や対処方法を考える上での指針となります。

特に、津波の予報が出ている場合や、大規模な揺れが予測される場合は、その情報をもとに迅速に安全確保の行動を取ることが求められます。そのため、常日頃から情報を入手する手段を確認し、地震時の行動計画を立てておくことが大切になります。

②続く余震に備える

大きな地震の発生時には余震が起こる可能性が高いので、余震に備える姿勢を持つことが重要です。余震もまた、予測が難しく突然の発生が考えられます。

そのため、安全な場所に避難した後も、常に落ち着いた状態で環境や情報をチェックする必要があります。

建物の損傷や家具の転倒など、初動の地震による影響も考慮しつつ、再び安全な場所を確保することが大切です。

③非常用持ち出し袋を手元に置く

自宅にいる場合には、非常時の備えとして用意している非常用持ち出し袋をすぐに手元に置くことが重要です。水や食料、ライターや懐中電灯、防寒具、救急セットなど、緊急時に必要となるアイテムはすぐに持ち出せるようにしておきましょう。

地震後、屋内での安全が確保されない場合や、避難する必要が出てきたときに、これらの備えが大きな違いを生むことがあります。

地震の影響で停電や断水が発生した場合でも、非常用持ち出し袋のアイテムを使用して生活することができるため、地震発生後、揺れがおさまったタイミングで、まずこの袋を手元に置くことを心掛けましょう。

緊急地震速報とJアラートの違い

緊急地震速報に似たシステムに「Jアラート」があります。ここではJアラートの仕組みや緊急地震速報との違いについてみていきます。

Jアラートとは?

Jアラートは、日本の国民保護情報伝達システムの一つで、政府が非常時の情報を直接、市町村を通さず国民に迅速に伝えるためのシステムです。このシステムは、ミサイルの発射や大規模な自然災害、テロなどの緊急時に、関連する情報を国民に瞬時に通知するために設立されました。

Jアラートが発動されると、行政無線や防災行政無線、さらにはスマートフォンやテレビ、ラジオを通じて、警報や緊急情報が発信されます。これにより、国民は迅速に適切な行動を取ることができるようになっています。

Jアラートの仕組み

日本政府が有する複数の監視・情報収集システムや関連機関からの情報を一元的に収集し、必要に応じて国民への警戒情報や指示を発信するものです。

具体的には、ミサイルの発射、大規模な自然災害、テロなどの非常事態が検知された際、気象庁や防衛省などの関連機関から情報が集約され、国土交通省の情報通信センターを通じて各地の放送局や自治体へ情報が送信されます。

そして、各地の放送局や自治体はこの情報を元に、テレビやラジオ、行政無線、さらには屋外スピーカーやスマートフォンの緊急警報通知機能を用いて、住民に警戒情報や避難指示を伝える仕組みとなっています。

日頃の備えが重要

緊急地震速報は、大きな揺れが到達する前に安全な場所への避難や、適切な対策をとるための時間を確保するための先端技術によるシステムですが、通知から実際の揺れが到達するまでの時間が非常に短いことや、推定に誤差が生じる可能性があるなどの課題も存在します。

そのため日頃から、地震防災・減災の取り組みが重要です。

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