地震にはさまざまな分類がある中で、揺れ方による分類もあります。今回は地震の揺れ方による分類となる「縦揺れ」と「横揺れ」について、詳しく解説していきます。それぞれの揺れ方の違い、特徴、危険性を理解することで、適切な予防策に役立てましょう。
地震の「縦揺れ」「横揺れ」の違い
地震の揺れ方には「縦揺れ」と「横揺れ」の2つがあります。2つの揺れ方にはそれぞれ特徴があるので、それぞれの揺れがどのように発生するのか、どのような影響を及ぼすのかを理解しておく必要があります。
縦揺れとは?
縦揺れとは、地面に対して垂直方向(縦)に揺れる振動のことです。具体的には、自分が立っている場所が上下に動くような感覚があります。縦揺れの伝達速度は横揺れよりも速いので、縦揺れを先に感じるケースがよくあります。
縦揺れによって甚大な被害をもたらすものの代表例が、居住地域の直下で発生する直下型地震です。直下型地震は、揺れが到達するまでの時間が短いので、緊急地震速報が間に合わないケースもあります。近畿圏の広域に甚大な被害をもたらした1995年の阪神淡路大震災は直下型地震に分類される地震です。
横揺れとは?
横揺れとは、地面に対して水平方向(横)に揺れる振動のことで、前後左右の動きを感じます。大きな地震が発生すると、最初の縦揺れの後に横揺れを強く感じることが一般的です。しかし、地震の発生地点や深さや地盤の状態などによっては、横揺れだけを感じることもあります。横揺れは建物や構造物に大きなダメージを与える可能性があり、特に高層ビルや古い建物は横揺れによる影響を受けやすいと言われています。
横揺れによって甚大な被害をもたらすものの代表例が海溝型地震です。海溝型地震は、沖合いの海溝でプレートのひずみが解放されることで発生する地震で、横方向に対してゆっくりと長く揺れる特徴があり、大きな津波を伴うことでも知られています。2011年に発生した東日本大震災は、横揺れを主体とした大地震で、建築物への損傷に加えて甚大な津波被害をもたらしました。
なお、地震波の中にP波(縦波)とS波(横波)があります。P波は波の進行方向と同じ方向に振動する波で、S波はその進行方向と直交する方向に振動します。ただし、「縦揺れ」=「P波」、「横揺れ」=「S波」とは必ずしもなりません。地震の縦揺れや横揺れは、あくまで地表面での揺れの方向を示していて、P波やS波は進行方向に対する揺れの方向を示しています。そのため、震源地との位置関係によって、P波やS波が縦揺れや横揺れに変わることもあるのです。
地震の「縦揺れ」「横揺れ」どっちが危ない?
地震の「縦揺れ」と「横揺れ」は、どちらが危険なのでしょうか?結論から言うと、大規模な地震であればどちらも非常に危険です。それぞれの揺れで起きる被害を掘り下げながら、具体的な危険性について詳しく解説していきます。
縦揺れの被害の特徴・危険性
縦揺れは突然激しく揺れることが多いので、発生時の恐怖心は非常に高く、パニックに陥りやすいと言われています。特に、震源地が近い場合や直下型地震の際には、縦揺れを強く感じられることが多いです。このような縦揺れが発生すると、家具や大型家電が床から浮き上がったり、食器棚の中の食器が破損する可能性も高まります。
横揺れの被害の特徴・危険性
横揺れの最も危険な点は、建物の倒壊被害が非常に多いことです。建物の柱は、縦の力よりも横の力に弱いため、横揺れが発生すると建物の倒壊リスクが高まります。近年、建物の耐震化が進められているものの、縦揺れで柱や壁が破損した後に横揺れが発生すると、そのリスクはさらに増大します。また、家具や大型家電が転倒するケースも横揺れの際に多く見られる被害です。
住宅の地震対策の重要性
住宅を購入する際には地震対策が重要となります。地震対策が不十分だと、大きな地震によって家屋に多大な損害が出てしまうからです。
地震対策には「耐震」「免震」「制震」と3つの方法があります。これらの違いをよく理解しておかないと、「うちの地震対策は万全だから大丈夫」と過信してしまうことにもなりかねません。
「耐震」とは、筋交いや面材によって強度を高めて、地震の力に耐える工法です。建築基準法では、1923年の関東大震災クラスの地震に耐えられる建物の強さを耐震等級1と定めていて、阪神淡路大震災のようにより大きな地震を想定した耐震等級2と、耐震等級3が設けられています。しかし「耐震」はあくまでも人命を守ることが最優先で家屋の損傷について十分に考慮されていないため、地震を受けるたびに固定箇所・接合箇所がどんどん緩み「耐震」性能自体が低下し、やがて全体損傷につながってしまいます。
「免震」とは、ベアリングや積層ゴムを建物の下に設置し、免震層を介在させることによって、建物自体に地震の揺れが伝わらないようにすることです。「免震」の構造を採用すると、地震が起きても住宅が宙に浮いた状態で地面だけが動くことになります。そのため、建物の損壊や家具の転倒などを最小限におさえられて、建物自体にも変形が加わらないので、理想的な地震対策と言えるでしょう。ただし、装置や施工にコストがかかることに加えて、小さな地震や台風でも家が動いてしまうこと、建物の周囲にスペースを必要とすること等のデメリットもあります。
「制震」とは、エネルギー吸収体を住宅に設置することで建物の変形を抑えダメージを低減させる工法で、超高層ビルや橋等にも採用されている最新の揺れ防止技術です。「制震」は「免震」工法と比べて低コストで導入できることがメリットです。
「耐震」構造に「制震」性能をプラスすることで、建物が本来もっている人命を守るための「耐震」性能を維持できます。
もし新築したばかりのタイミングで大地震が起きて、家が傾き、サッシが破損し、壁紙が破れるなどすると、その後の補修に多大な費用がかかり二重ローンを抱えることにもなりかねません。新築時に追加費用を出してでも「制震」性能をプラスしておけば、大切な住宅に長く住み続けることができるようになります。
アイディールブレーンの制震ダンパー「ディーエスダンパー」は、気温や地震の加速度によって性能が変化するゴムやオイルを使わず、金属部品だけで構成された制震ダンパーです。独自開発した技術によって、一般的な金属ダンパーのデメリットとされている「金属疲労」を低減し、繰り返しの地震を受けても安定した制震性能を発揮します。
■ディーエスダンパーの特長
● 国土交通大臣認定壁倍率取得済み
● 厚さはわずか30mm、断熱材の設置空間を十分に確保した薄型制震ダンパー
● 施工はわずか10分、作業者1名でも取付可能
ディーエスダンパーについては、以下のページでさらに詳しく解説しています。
コメント